はじめに
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最近よくTwitterで「レッサーパンダの威嚇」をよく見かけます。
そのずんぐりむっくりとした体形が可愛いらしいですよね。
レッサーパンダは食肉目レッサーパンダ科の生き物で、主に竹を食べ、
ミャンマーの北部や中国の四川省・雲南省、チベット、ネパール、インドの北東部などに生息しています。
レッサーパンダはレッサーパンダ科の中で唯一現存する種属です。
名前は白黒のジャイアントパンダと比べて小さなパンダを意味するレッサーパンダや赤いパンダを意味するレッドパンダと言われています。
ちなみに「パンダ」の語源は諸説ありますが、ネパール語で「竹 爪」を意味するnigala ponyaが起源ではないかと言われています。
日本での飼育も多く、全国の動物園で比較的簡単に見ることができます。
しかし、現在レッサーパンダは絶滅の危機に瀕しています。
本稿ではレッサーパンダの現状とその貴重性について解説していきます。
絶滅の危機とその理由
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レッサーパンダは絶滅の危機に瀕しています。
毎年個体数を減らし、現在では推定10,000~2,500頭程度しか生息していません。
2015年には国際自然保護連合 (IUCN) において「絶滅危惧種」にも指定されています。
それではなぜ、絶滅の危機に瀕しているのでしょうか?
その主な原因は
ヒマラヤ山脈付近の人口増加による
①森林伐採や人間移住地の拡大による森林破壊で生息地の減少
②持ち込まれた外来種からのウイルス感染
③毛皮や骨、肉などを取るための密猟の増加
が考えられます。
特に③の密猟の増加は非常に複雑な問題です。
密猟は増加傾向にありますが、レッサーパンダの取引の需要や市場があるという根拠は見つけられていません。
調査の潜入捜査官が買い手のふりをすることによって、あたかもレッサーパンダを売る市場があるかのような錯覚を与えている可能性があります。
生息地の近くに住んでいる人はレッサーパンダの動物的価値や重要性を理解しておらず、さらに経済的に貧しい傾向にあるため、密猟が増加している可能性があります。
また、密漁者から没収した毛皮の価格をメディアが知らせることでさらに密猟の増加に拍車をかけているといった状態です。
このように非常に複雑な問題によりレッサーパンダの生存は今もなお脅かされているのです。
生物分類学上も貴重な存在
非常にカワイイ、レッサーパンダですが、その愛くるしい見た目や
生態系として保存されなければならいことはもちろんですが、
その分類的にも貴重な存在であることはご存じでしたか?
レッサー「パンダ」という名前から、動物園の人気者、白黒の「ジャイアントパンダ」と近縁であると思われがちですが、その分類には非常に複雑な紆余曲折があったのです。
元々レッサーパンダはジャイアントパンダと同様に形態の比較では
クマ科に近縁であると考えられてきました。
しかしその後、DNAの研究が進むと、アライグマ科に近縁である説やクマ科と鰭脚類(アザラシ・セイウチ・アシカなど)からなる系統に近縁、イタチ上科の中でも一番はじめに分岐した種であるとする説などがありました。
こうした様々な議論の中で、近年の研究により現在ではイタチ上科の主要な系統で、
イタチ科やアライグマ科に近い種類であり、
スカンク科の次に分岐した種であるという説が一番支持されています。
そして前述の通り、レッサーパンダは現生種としては1種のみしか存在しておらず、ユーラシア大陸や北アメリカ大陸で近縁種の化石が見つかっているもののすべて絶滅しています。
このように、分類的にみてもレッサーパンダは非常に貴重な生き物なのです。
まとめ
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レッサーパンダは動物園などでも見かける身近な動物ですが、絶滅の危機に瀕しています。
その主な原因は人間による活動によって、生息地が減少したり、外来種からのウイルス感染、密猟の増加がありました。
このように絶滅の危機に瀕しているレッサーパンダは分類上もイタチ上科に属するスカンク科の次に分岐した比較的原始的な種類です。レッサーパンダ科はレッサーパンダ一種のみで構成されており非常に貴重な存在です。
現在はワシントン条約によって狩猟は禁止されており、保護活動も積極的に行われています。
少しでもレッサーパンダが増えてくれるといいですね。
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